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観光立国

政府は2003年4月に訪日旅行促進(ビジット・ジャパン)事業を開始。07年1月に観光立国推進基本法が施行、08年10月には観光庁が発足した。しかし、リーマンショック(08年)や東日本大震災(11年)などの逆風もあり、訪日外国人旅行者1千万人の目標は未達成のままだった。

2013年(平成25年)には、観光立国を実現するための施策について、関係行政機関の緊密な連携を確保し、その効果的かつ総合的な推進を図ることを目的として、全閣僚が構成員となる「観光立国推進閣僚会議」が立ち上げられた。訪日外国人旅行者数の推移については、第1章第1節6に示しているが、官民一体となった取組み注82により、同年に、目標であった1,000万人を達成した。さらに翌年、外国人旅行者向け消費税免税制度が改正されるとともに、観光地における案内板の英語表記の導入等受入環境の整備も着実に進めていった。

我が国では、1963年(昭和38年)に国際収支の改善及び外国との経済文化の交流の促進を目的とした「観光基本法」が制定された。これが外国人旅行者の訪日促進を第一の政策目標に掲げた最初の取組みであり、ここから観光立国への歩みが始まった。観光基本法制定の翌年には東京オリンピックが開催された。東海道新幹線や高速道路の建設、宿泊施設の整備や接遇の向上が推進され、訪日外国人旅行者を受け入れるための基礎となっていった。

ビザ(査証)緩和やプロモーションの強化に加え、円安などの追い風もあり、13年の訪日外国人旅行者数は1036万人を記録した。初の1千万人突破を受けて、14年の通常国会の施政方針演説では、観光立国に言及する部分が大幅に増えた。

2011年度(平成23年度)末に決定された観光立国推進基本計画では、2011年に発生した東日本大震災を踏まえて、「国民経済の発展」、「国際相互理解の増進」、「国民生活の安定向上」に加え、「震災からの復興」を基本的な方針として掲げた。そして、被災した観光産業の再生のため、官民合同による国内旅行振興キャンペーン(「がんばろう!日本」)や東北地方に旅行需要を喚起させること目的に、東北地域全体を一種の博覧会会場と見立てた「東北観光博」を行うなど復興に向けた支援を行った。

本学会の会員の皆さまからのご意見などをもとにして、2022年度からスタートする新たな『観光立国推進基本計画』の策定に向けて、作業チームが政策提言を取りまとめました。詳しくはこちらからご確認ください。

訪日外国人旅行者の促進については、1996年に「ウェルカムプラン21(訪日観光交流倍増計画)」において、「2005年までに700万人」という数値目標が定められた。その後、2003年には、バブル崩壊後の長引く経済低迷の打開に向け観光への関心が高まる中、第162回国会における総理大臣施政方針演説において、「2010年までに訪日外国人旅行者数を1,000万人にする」との目標が掲げられた。これを受け観光立国懇談会注80において、我が国の観光立国としての基本的なあり方が検討された。

13年3月には首相が主宰する会議体として観光立国推進閣僚会議が発足し、同年6月には「観光立国実現に向けたアクションプログラム」が策定された。訪日外国人旅行者数1千万人を達成し、さらに2千万人の高みを目指すため、観光施策を強化する方針が掲げられた。

「観光立国」の実現に向けては、国内の観光資源の磨き上げが重要である。このような観点から、2008年には「観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律(観光圏整備法)」が制定され、「観光圏」注81の形成支援等を通じて、魅力ある観光地域づくりを推進してきた。

国土交通省では、2003年に、訪日旅行の飛躍的拡大のための国を挙げた戦略的な取組みとして「ビジット・ジャパン・キャンペーン(2010年より「ビジット・ジャパン事業」)」を開始した。その後2006年には、観光立国の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進すること等を目的とした「観光立国推進基本法」が制定され、観光は21世紀における日本の重要な政策の柱として初めて明確に位置付けられた。国土交通省も組織の体制強化を図り、2008年に外局として観光庁が発足した。

観光立国に向けた取組みについては、2016年(平成18年)3月、「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」注84において、「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定し、訪日外国人旅行者数を2020年に4,000万人、2030年に6,000万人、訪日外国人旅行消費額を2020年に8兆円、2030年に、15兆円とする新たな目標を目指すこととした(図表I-1-2-23)。

12年12月に第2次安倍政権が発足。財政出動、金融緩和、成長戦略を「3本の矢」とするアベノミクスが始まった。初めて迎えた通常国会の施政方針演説では、海外の成長を取り込むという文脈の中で「観光立国」の推進が表明された。

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