アダニの陰の実力者は兄ビノド氏か、複雑構造のグループで戦略策定も

インドの新興財閥アダニ・グループが昨年8月、105億ドル（現在のレートで約1兆4160億円）を投じてセメント企業2社の買収完了に近づいていた際、同グループと取引銀行は極めて複雑な届け出を提出した。
　しかし、アダニ・グループにとって最大級の買収案件で両氏の名前が浮上しており、肥大化したアダニ帝国でビノド氏が行使する影響力の強さ、そして大きなビジネスを展開する際には、小さな企業を複雑に介在させるアダニ一族独特のスタイルが示唆される。
　こうした事業体について「定期的かつひそかにアダニと取引している」との見方を示したが、ヒンデンブルグはセメント企業買収に関する詳細を掘り下げることはしなかった。
　アダニ・グループの広報担当者はブルームバーグ・ニュースが送付した具体的な質問事項に対し、「ビノド・アダニ氏はアダニ上場企業、またはその子会社でいかなる役職にも就いておらず、日常業務にも当たっていないと回答。」
目立たず　　事情に詳しい関係者によると、ビノド氏も関与する事業構造に関して不適切なことは何もしていないと考えていると関係者は述べたが、投資家を安心させるため、今後は最適な構造を探り、事業体の一部をより入念に検討する計画だと明かした。
　クアエロ・キャピタルのロンドン在勤ポートフォリオマネジャー、アリス・ワン氏はインドなど新興国では企業を発展させる初期段階で一族のネットワークが極めて重要になることもあると指摘しながらも、「企業が制度化や国際化、後継プランの策定に動こうとする際には、家族の結束が後で足かせにもなり得ると述べた。」