イスラエルとハマスの紛争、拡大なら世界経済リセッション入りも
記事を要約すると以下のとおり。
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルとの軍事衝突は、過去の中東戦争と同様、世界経済に混乱をもたらす可能性があり、さらに多くの国々が巻き込まれることになれば、世界的なリセッション(景気後退)につながる恐れもある。 そのような事態となった場合、原油相場は1.7%に落ち込む可能性があるとブルームバーグ・エコノミクス(BE)は推計する。双方の死者の大多数は民間人だ。関連記事:分断のイスラエル、ハマスの奇襲で団結の機運高まる-挙国一致内閣も 中東地域はエネルギーの重要な供給源であると同時に船舶の主要な輸送経路でもあり、同地域の紛争の場合、犠牲者数は多かった一方、経済面の衝撃は一段と限定的だった。 世界経済は現時点でまだ、ロシアによるウクライナ侵攻で悪化したインフレ高進から回復途上にあり、脆弱(ぜいじゃく)な状態にあると見受けられる。イスラエルとハマスの衝突が今後数週間ないし数カ月にどう展開するかが、一連の潜在的影響を左右する。3番目では、両国の直接的な軍事衝突のケースを考察した。EconomicImpactofWarGlobalgrowthandinflationimpactofthreescenariosforhowtheIsrael–HamasconflictcouldevolveSource:BloombergEconomicsNote:GlobalGDPgrowthfor2024,estimatedusingBayesianglobalVAR1番目のシナリオ 紛争がおおむねガザ地区にとどまる場合、世界経済へのインパクトは最小限だろう。イラン産原油への制裁を米国が強化するなどしても、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が余剰生産能力を使って、イランの供給減少分を穴埋めすれば特にそうだ。2番目のシナリオ 衝突がレバノンやシリアにも拡大し、金融市場では11年初頭から中東・北アフリカの国々で本格化した民主化運動「アラブの春」当時に生じたようなリスクオフが想定される。リスク資産の落ち込みは成長にかなりの打撃を及ぼし、24年の世界のGDP伸び率は1.7%に達すると推計される。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局は2%の物価目標に手が届かず、ガソリン価格高騰はバイデン米大統領の再選にハードルとなると考えられる。一つ確かなのは、中東安定化の期待はずたずたになったということだろう。
[紹介元] ブルームバーグ マーケットニュース イスラエルとハマスの紛争、拡大なら世界経済リセッション入りも