日銀の政策金利パスに立ちこめる暗雲、世界的な市場混乱でリスク増幅
記事を要約すると以下のとおり。
日本銀行の植田和男総裁が進める政策正常化の道筋は、直近の市場混乱で大きく揺らいだ。今年3月に世界の市場に動揺が走ったと多くのトレーダーが声を上げる中、内田真一副総裁は市場が不安定な状況で利上げは行わないと踏み込んだ。 日銀出身で楽天証券経済研究所の愛宕伸康チーフエコノミストによれば、市場混乱に対する日銀のコミュニケーション手法から逸脱してしまったという。それを日銀ははき違えていると思うと語った。日銀出身でUBS証券の足立正道チーフエコノミストは、日銀の市場との対話は「不合格」と評価。長年にわたり世界各国の当局者は金融市場の反応に苦慮してきた。翌月、FRBは追加利上げを断念し、保有債券の縮小に柔軟に対応することを示唆した。出来栄え「減点」 サマーズ元米財務長官は、特に新任のセントラルバンカーは初めて運転席に座るドライバーのように「ハンドルを切り過ぎる」傾向があると指摘。その上で、「オリンピックの言葉を借りれば、私なら日銀から「出来栄え点」を少し減点するだろうとサマーズ氏は述べた。 市場はまだ落ち着きを取り戻していない。 元日銀理事(金融政策担当)の門間一夫みずほリサーチ&テクノロジーズ・エグゼクティブエコノミストは、市場が落ち着くのを日銀は異例の政治的圧力にさらされた。閣僚と自民党幹部の2人は日銀の金融政策と円安について言及し、植田総裁に近く国会で説明するよう求めている。その上で、日銀がこの先どうしていくのか、世界情勢を含めて日本経済や取り巻く環境について政府がどういう考えなのか、「国会で審議することが有意義だと語った。」 元財務官の山崎達雄国際医療福祉大学特任教授は、世界的に株価や為替相場が急変動した直接の原因が「日銀にあるかのようにされているという意味では、植田総裁は非常に気の毒だ」と語った。誰がトップに就くのかによって、日銀は、政策のコミュニケーションにおいてデータに忠実でなくてはならないと指摘する。
[紹介元] ブルームバーグ マーケットニュース 日銀の政策金利パスに立ちこめる暗雲、世界的な市場混乱でリスク増幅