日銀物価見通し、実態より低い数字で政策正当化に疑問-渡辺東大教授
記事を要約すると以下のとおり。
日本銀行出身で物価研究が専門の渡辺努東京大学大学院教授は、日銀の物価見通しは金融政策の正常化への思惑を招かないように実態よりも低く抑えられているとして、疑問を呈した。 日銀は先月、2023年度の生鮮食品を除く消費者物価(コアCPI)上昇率の見通しを2.5%に引き上げる一方、24年度は1.6%と2%を下回る水準とした。日銀の消費者物価見通しが「一向に上がってこないと、24年春闘に掲げる賃上げの水準を控えめにする影響がある」と指摘した。その場合、日銀は短期金利を動かすことはできなくなるとしている。とにかく短期決戦でやるべきことをやりきるということを政府と日銀も考えるべきだと強調した。「日銀が現行の金融緩和の枠組みを堅持しているのは、それが理由だ」と語った。YCC撤廃 渡辺氏は、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の撤廃が、短期金利修正の大前提になるとの考えを示した。7月の金融政策決定会合で微修正しかできなかったのは「汚点」とし、「日銀としては常に短期金利を動かしたいのは間違いなく、それに至る障壁を1個1個除かなければならない中で、YCCはその一つなので早めに除くべきだったと述べた。 現在の為替動向に関しては、「日本の物価と賃金を持続的に上げる観点から円安は止まるとし、政府は為替に介入するべきではないとの考えを示した。」
[紹介元] ブルームバーグ マーケットニュース 日銀物価見通し、実態より低い数字で政策正当化に疑問-渡辺東大教授